1891年に開設したウィーン美術史美術館は、エジプトやメソポタミアをはじめとした古代美術、武器、古楽器、コインなどとともに、主に16世紀から18世紀にかけての豊富な絵画のコレクションを有しております。
同館の特徴は、その名称とは裏腹に、ハプスブルク家の私的コレクションの性格が非常に顕著なところにあります。歴代の君主は、完成されたもの、成熟したものを好み、発展の初期段階にあるようなものを認めませんでした。そのため、絵画では、16、17世紀のヴェネチアのルネサンス絵画、フランドル絵画など18世紀までの作品が主流を占めています。現存するピーテル・ブリューゲルの4分の1を所蔵しています。逆に政治的に緊張していたフランス絵画はほとんどありません。